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就労ビザ

中国ビザの手続きは市や区、担当者によって要求が違うことを覚悟

 2017年に中国の就業許可、つまり工作証を得るための手続きが改定され、中国で働く外国人は全て外専局(外国人専門家局)の統一システムを使用することになり、全国一律の条件で許可審査が行われることになった。

 が、実際始まってみると、概ね統一ルールの上で運用をされているものの、やはり以前同様に窓口によって言っていることが違うといったケースが多々見受けられる。
 例えば、あることを証明するのにある区の窓口ではAだけを提示すればよいのだが、別の区ではAだけでなく、BとCの資料も必要ですなどと言われることが起きる。
 要するにその区の担当グループが勝手に裁量で根拠材料を決めているのが実態のようなのである。

 ゆえに、弊社でも時々お客様にある資料の提出を求めると「私が知り合いの社長に聞いた話ではそんな資料は求められなかった」という答えが返ってくる。
 しかし、そのお客様の管轄する区ではABCとも提出が必要だというルールになってしまっているので、他の区の実例がどうであろうと提出が必要なのである。

 残念ながら、要求資料の種類や資料の有効性を判断するのは我々業者ではなく、当局の担当官であるため、そのあたりはご理解をいただきたい。

 そして、市や区によって判断が違う以上に厄介な話として、同じ区の窓口でも担当官によって判断が違う場合もある

 まあこれは区単位や市単位の差ほど決定的な違いが生まれることは滅多になくなったが、細かい文言の一言一句を指摘する担当官から、資料をざっと見るだけでOKを出す担当官まで様々おり、いずれにあたるかは運次第となるのだが、指摘されたら指摘通りに直さないと通してくれないのがやはりルールなのである。

 そしてもっとも厄介なのが、突然の判断基準の変更である。
 大きな規則の変更と違い、中国の役所の必要な提出書類の基準などは日常茶飯事的に変更が行われる。

 日本でも一般の会社では同じ課内などにおいて朝礼でささいな業務フローの変更、例えば今度からこの資料の貸し出しには上司の承認印をもらってきてくださいなどといった細かいルール変更が伝達されると思うが、中国では役所でもあれに近い頻度でルール変更が行われる。

 従って、外専局の公式サイトなどを覗いてもこのルール変更について正式な通知が出ているはずもなく、年中窓口へ行っている弊社でさえも担当官から説明を受けて初めて新しいルール変更を知ることがしばしばなのである。
 さほど、ルールや運用が一定しないのが中国における役所手続きであり、システムが統一されたからと言って、実状はそんなには変わっていないのであり、是非そういった現状を覚悟して手続きを行っていただきたい。

学歴証明には卒業証明だけでは駄目!学位の証明が必要になった。

 今年の4月に始まった中国の労働ビザの新制度であるが、その必要書類の一つに学力を証明する書類の提出が必要とされている。
 この学力を必要とする書類として、これまでは最終学歴に依らず卒業証明書を提出していたのが過去の慣習となっていた。

 ところが、ここ最近の審査状況の実態では、この最終学歴の証明書だけでは不足とされるケースが続出しており、卒業証明書とともに、「学位」を証明する学位証明書も提出するように求められるようになった。

 学位とは、いわゆる「学士」「修士」「博士」」のことである。

 もちろん、卒業証明書上に学位の記載があれば問題ないのだが、記載がなければ別途取り寄せることになる。

 この点、通常日本の大学では、「卒業=学位認定」となるため、新たに学位を確認されることはほとんどなく、卒業証明書上に記載のない大学も少なくない。

 しかし中国の当局にとっては世界中から色んな学校の卒業証明書が提出されるわけで、卒業証明書だけ提出されても各国言語で書かれた学校の名称だけではそれが大学なのか高校なのか専門学校なのか判別がつかないということのようだ。

 まあ日本の大学だけを考えるならば同じ漢字国なので「〇〇大学」という漢字名称を見れば、通常は大学であることはほぼ推測可能なように思えるのだが、日本でも「首都大学東京」や「職業能力開発大学校」など慣例に従わない大学名称なども存在し、かつては大学ではないのに「大学校」を名乗った学校も存在していたりするので必ずしも名称では判別できなかったのである。

 そこで世界統一基準として「学位」というものを、能力証明基準として要求されるようになったのと推測される。

 学位を取得していれば、学校そのものがどんな学校を問う必要はなくなり、学校の存在だけ確かならば「学位証明」能力証明は事足りることになるのである。
 まあ中国人でも知っている日本の有名大学卒業の方には面倒な話になったこの要求ではあるが、平等に正確性を期すという意味では日本人にとって漏れていた視点なのかもしれない。

  今後、日本で卒業証明書を取得される方は、忘れずに学位記載或いは或いは別途学位証明書を取得されることをご忠告したい。

 なお、この卒業証明書及び学位証明書については、そのままでは提出できず、日本の中国大使館(領事館)での認証が必要(現状上海では在上海日本国総領事館の公印証明で可)で、あるので、この手続きも忘れずに行っていただきたいものとなっている。

就業許可が下りる前に先行して入国する場合はZビザがいらない?!

 日本など外国から中国を訪れて就業をする場合、現地に本人が先に到着してから手続きをしたいと考えられている人も実は少なくない。

 しかし、実際には就業許可通知が下りないとZビザを取得できないことから、就業許可通知を待ってZビザを取得し、その後初めて中国側に入国する通常のパターンとなっている。
 もしどうしても先に中国国内に入国して、例えば家の契約などの手続きを先行して行いたい場合などは、ノービザ資格などで入国するなどして何回か日中間を往復するような手間と費用が生じてしまう。
 
 しかし、こういった手間を解消する方法が実は当局から提示されている。

 それは倒置式の就業ビザ手続き方法というもの。

 この倒置式とは具体的にどういう方法を指すのかと言えば、被雇用者は就業(工作証)許可通知が下りる前に、先に商貿ビザ(Mビザ)や観光ビザ(Lビザ)などを国外で取得して、そのビザで入国し、中国国内で就業許可(工作証許可通知)が下りるのを待つという方法。

 この方法をとった場合、就業許可通知が下りたら、すぐにその許可資格を持って外国人居留証の取得ができ、その後に改めて正式な工作証取得の手続きを進めることになる。

 つまり通常の工作証→居留証の順番ではなく、居留証→工作証という順番を入れ替えた段取りとなるため、倒置式と呼ばれる。
 当然、日本に戻ってZビザというものを取得することなく外国人居留証を取得できる。

 但し、この倒置式を取る場合は工作証を正式取得前に手続きを行うことになるため、確実に工作証の手続きを行いますといった、承諾証を取られることになる。
 
 医師など一部の職種ではこの対応が出来ないようだが、大半の職種はこの倒置法が利用できる。

 このような手段をとることによって、就業(工作証)許可通知が実際に下りる前の任意の時期に、先に他のビザで先行入国することが可能で、当局の審査処理を待つ間に、個人の身の回りの手続きなどをすることが出来る。

 ただ、この倒置法で気を付けなければいけないのは、ノービザ入国ではこの扱いが出来ず、入国時に何らかのビザ(通常はMかL)を持って入国しなければならないということ。

 また、現在新制度になってから就業(工作証)許可の審査に非常に時間がかかっていることから、入国時のビザの期限までに必ずしも許可が下りるとは限らず、間に合わない場合は出国を余儀なくされる可能性があるということも注意したい。

 さらに、先に入国し居留許可を取得したとしても工作証が発行されるまでは、法律上は働けない状況であることも忘れないようにしたい。

 そのほか家族がいる場合、配偶者は大人なので本人同様にMビザを取得することができると思われるが、お子さんは難しいためLビザ限定になり通常は30日が上限になり滞在日数的に心もとなく、入国時期を考慮する必要がある。
 
 意外に知られていないこの倒置法だが、知っていると時間の節約が可能であり、いろいろと制約もあるものの日本から新たに社員を呼び寄せる場合などは是非思い出していただきたいやり方である。
 
※この倒置法について確認をとっているのは上海市においての手続きのみであり、それ以外の都市については、各都市の担当公安局に確認をとってから手続きされたい。

失くすと危険!中国の外国人工作証は個人情報のカタマリ

 中国の外国人労働者の就労ビザ制度が正式に改正されて数ヶ月が経つが、各地でバタバタした状況が伝わっており、まだまだ新制度への移行は落ち着かない模様である。

 ところで、従来の就業証に代わって新しい制度では工作証というカードが、外国人労働者に発行されることになった。

 従来の就業証は手帳型であり、内部に色々と情報が記載されていたのだが、今度の工作証はカード型となった。

中国の工作証

工作証カードの表面上には顔写真、氏名、国籍、性別、労働者番号などが記載されているものの、直接見える情報としてはこれだけである。

 ただこの工作証にはQRコードが印刷されている。

 実はこのQRコードが、新制度の工作証の目玉なのだろうと思われ、このQRコードをスマホのカメラでスキャンすると、スマホ上に工作証所持者本人の最新の労働者情報を呼び出せるのである。

 呼び出した先にはパスポート番号や生年月日はもとより、許可職種や許可期間、住所、所属会社までが記載されており、個人情報のカタマリがそこにあるような状態となっている。

工作証情報の内容

 しかしながら困ったことにこのQRコードは誰のスマートフォンからも読み取り可能で、しかもパスワードなどが一切掛けられていない

 つまり工作証カードを失くして誰かに拾われたりすると相手に知れ渡ることとなり、もしネット上などで晒されてしまうとあっという間に個人情報が拡散されてしまう結果となる。

中国では業務上の情報は個人情報と判断しないのかも知れないが、他人に悪用される可能性を考えれば立派な個人情報であり、おいそれと他人に晒すべきではない情報だろう。

故に、既に工作証を取得された方は失くさないためにも極力持ち歩かず、大事に部屋に保管をされることをお勧めする。

幸いなことにこの工作証は今のところ、工作証の手続き以外に使用されるケースはない模様であり、許可延長手続きの時まで必要とされないだろうと思われ、持ち歩く必然性は見当たらない。
 やはり自宅で大事に保管されるのが安全であり、賢明である。

この新工作証、いずれパスワードなどの保護が施されるかも知れないが、現状ではノーガードであり、自らの個人情報を守るためにも是非ご注意いただきたい。

新労働ビザ(工作証)政策は新規も転職も労働開始まで2ヶ月以上を覚悟しないといけない。

 昨年10月から試行が始まり、この7月に完全移行となった新たな中国の外国人就業許可(ビザ)制度であるが、徐々にその実情が明らかになっている。

 制度のポイントはいくつか有るが、現時点では新規就業者や高齢者にとって非常に辛い制度となっている。

 特に60歳以上の方は、Aランク相当でないとほぼ認められない状況であり、法人代表や総経理といった役職やポジションに関わらず60歳以上はかなり難しくなっている。
 一応上海市の平均月収の6倍という基準を満たせば合格ラインにはつながるのだが、誰でも満たせるわけではないので結構ハードルが高いだろう。
 平均月収の6倍というのは3万9千元相当とされ、日本の職位で言えば部長クラスの賃金になろうか。

 また、学歴に対する基準も厳しく、一応ルール上では大卒ではなくともポイントで基準を達成すれば通る事になっているようだが、実情としては当局の審査官のほうが大卒者以外を合格させることを怖がっているフシが有り、四大卒以上でないとなかなか合格できない状況となっている。

 そして、何と言っても就業希望者や転職希望者を困らせているのが、必要書類の増加手続き時間の長時間化である。

 例えば、他の地区ではもともと必要だった無犯罪証明書だが、上海では今回から初めて必須となり、これまでより取得手続きに少なくとも2週間ほど余分にかかるようになった。

 さらに、大学の卒業証明書もこれまではコピーで良かったものが、原本かつ中国の在外公館(大使館や領事館)においての認証作業が必要になり、この手続にも2~3週間の時間がかかることになった。

 このように新制度では書類収集に手間が増えたのだが、実はこの書類は外国人工作証(従来の就業証)の新規取得時だけでなく、今までの就業証で働かれていた方が、転職をするときにも必要になっているのである。

 従って、転職される方は従前の勤務先に在職中から書類収集手続きを始めるようにしていかないと、退職後に半月やそこらはすぐに経過してしまうことになる。

 さらに、当局の審査自体も非常に時間がかかるようになった。

 具体的には一般的なBランクへ申請の場合、必要書類の当局サイトへのアップロード後の予備審査に5営業日、この予備審査通過後に実物の紙資料を提出して審査に20営業日を要すると当局は説明しているため、これだけで25営業日、つまり5週間を要することになり1ヶ月を越えてしまう。
 また特殊な職種の場合はさらに10営業日を要する場合があるとしており、この場合は1ケ月半に達してしまうのである。
 で、もし許可通知を得られたとしても、ここから工作証本証を取得するには入国後さらに10営業日(2週間)を要する。

 このほか居留証の申請は従来通り7営業日かかるため、どんなにスムーズに申請できたとし、倒置方式※で申請しても書類を集め始めてから居留証を取得終えるまで2ヶ月は優にかってしまうのである。
(※Zビザ以外のL,Mなどの査証で入国している場合、工作許可通知が出ている前提で居留証へ先行切替が可能で、居留証発行後に工作証の発行手続きを行える)

 このあたり、弊社では多少の時間短縮をご案内できないわけではないが、それなりの時間がかかることには変わりがない。

 しかも書類の不備などでやり直しが発生すれば上記の時間カウントはゼロからリセットされてしまう場合も少なくなく、3ヶ月かかってもビザ(居留証)が取得できないという状況が起こりうるのが、現在の手順となっている。

 結果としてこの間は当の申請者本人は原則として業務で稼働できないので無収入となるわけであり、2ヶ月の非稼働状態は生活の面でも大きな負担になると思われ、日本本社の派遣ならともかく転職の場合は計画的に行動しないと生活がショートしかねないだろう。

今後、当局の方針変更によってこれらの手続き時間が短縮されることも無いとも言え無いが、現状としては相当な時間がかかることを覚悟して新規採用や転職の行動に移ることをおすすめしたい。

中国国内でパスポートを更新した場合のビザ貼り替えには同一人物証明書が必要(訂正)

 中国に長く滞在していると滞在中にパスポートの期限が来て更新が必要な機会も生まれてくる。

 日本の在外公館でもパスポートの更新が可能なことは以前も記し、居留証(ビザ)の貼り替えが必要なことも書いたが、最近の中国側のルール改正によりこのパスポート更新後の居留証(ビザ)貼り換えの際に、提出に必要な書類が一つ増えた。

 増えた書類とは「パスポート交換証明書」である。

つまり居留証(ビザ)の交換の貼り替えを希望する者のパスポートが、以前居留証を取得した者と同一人物であることを証明する必要が生じたのである。
(パスポートは更新すると番号が変わるため)

 写真を見れば一目瞭然じゃないかとおっしゃられる方もおられるが、最長10年のものが発行されるパスポートでは、10年前と現在では顔の雰囲気などが変わるので、顔写真だけでは確実に同一人物だと確証は得られず公的な証明が必要になったものと考えられる。

 ちなみに日本国内や他国でパスポートを更新された場合はこの証明書は不要のようも必要で、重要なのは入国スタンプの押されている古いパスポートと真っ新なパスポートの所持者が同一人物で、必要な手続きを経て入国された人物であるかどうかという点に確認ポイントがあるようだ。
 
 従って、中国国内の在外公館でパスポートを更新する際には、同時に発行元(日本政府外務省)にパスポートを交換した証明書を要求する必要が出てくるのである。

 
 この当局の要求について、日本の在外公館で発行する書類の中では、「同一人物証明書」というものが該当するようであり、やはり新旧のパスポートが同一人物であることを証明する書類となっている。

 この同一人物証明書は、パスポートの更新申請の際に同時申請できるほか、後からの追加申請も一応可能なようである。
(どこまで遡れるかは不明)

 手続きについて上海の領事館に確認したところ、空いていれば1時間程度で発行され、つまり即日交付も可能で事前申請も可能とのこと。
 但し、いずれも費用として110元が必要となっている。(2016年11月現在)

従って、今後は中国国内でパスポートを更新した際は、この「同一人物証明書」を添えて、就業証や居留証の変更手続きを行うことになる。
(規定ではパスポート更新後暦日10日以内の更新手続きが求められており、新パスポートの発行日は通常申請日当日となることから、長期連休を挟んだパスポート更新申請などは規定を満たせなくなることから避けた方が無難である。)

ちなみに、この「同一人物証明書」は銀行電話の登録情報の変更の際に要求される可能性がある書類で、日本など中国国外でパスポートを更新した際にも、身分証明書の変更として居留証(ビザ)の更新には必要なくても、発行してもらったほうが良い書類である。

 なお、ノービザ(或いはその他のビザ)での入国期間中に中国でパスポートを更新した場合(かなり稀なケースと思われるが)も、上記に書いたように入国スタンプが重要性をもつことから、出国時に同一人物証明書を添えて、新旧パスポートを出国係官に提示するのがより確実な対応と思われる。

 いずれにしても、人物証明の基礎となるパスポートを更新した場合、証明書の信用度の連続性を問われてしまうことになり、二つの情報が同一人物のものと確認されるためには、生身の顔よりも書類が大事なのが現実ということになっている。

中国入国の際のパスポート残存期間について

 ビザを専門に扱っている弊社に対して、時々寄せられる質問が、入国の際のパスポート残存期間についてである。

 一部のサイトやガイドブックなどは、「中国入国時にパスポートの残存期間が半年以上残っていることが望ましい」などの記載があるため、居留証を持っててもパスポートの残り期間が半年を切ってしまうと入国出来ないのではないかと不安になるようである。

 しかし、この疑問は結論から言ってしまえば心配ないということになる。

 上記でいうところの半年以上の残存期間というのはあくまで推奨すべき状態であって、絶対条件ではないものとなっている。
 したがって、パスポート期限まで残り1か月であろうが居留証やその他の入国ビザを持って入国する分にはビザの期限いっぱいまで中国国内に滞在しても何ら問題ないことになる。

 逆に言うと、パスポートの期限までしかビザ(居留証)は発給されないので、滞在が可能な期間はパスポートに依るものとなっており、パスポートの期間を超えてはビザ(居留証)を取得することはできず、当然滞在も不可となる。

 ではノービザ入国の場合はどうなるかと言えば、あまりこのケースを聞いたことがないので推測となってしまうが、ノービザ期間の15日分が有効のパスポートを持っていれば入国は可能となる思われる。
 ただし、このような期限ギリギリの場合はやはり入国の際に帰国の予定を尋ねられる可能性が高く、帰りのチケットを提示しないと係官の判断により入国を拒否される可能性もないとはいえない。

 また天候病気その他の原因で、予定の出国が不可能になるリスクも考えると、やはりせめて数か月の余裕期間を持った状態で入国するか、早めにパスポートを更新しておくべきであろう。

 例えば中国滞在中に交通事故に遭うなどして飛行機に乗れない状態となれば1~2か月の時間はすぐに過ぎ去ってしまうことは容易に想像できる。
 そしてもしパスポートやビザ(居留証)がいったん有効期限切れになってしまえば、手続きに必要な書類を取り寄せるのに思いのほか時間がかかるのが外国である。

 なかなか手続きが進まぬままオーバースティとなり、あっという間に時間が過ぎ時間切れになる可能性もゼロではないのである。

 それ故に、いろんな意味でやはりリスクを避けるためにも余裕を持った残存期間で中国入国するのが理想的ではあるが、残存期間が6か月を切ったからと言って入国できないということはないのである。

 ただ、繰り返しになるがやはりいろんなリスクを避ける意味でも、ビザの更新やパスポートの更新はうまくタイミングを見計らって早め早めの手続きを心掛け、余裕を持った状態で入国するようにしていただきたいというのが弊社の希望である。
 

中国の労働ビザ許可のチャンスは一度だけ?やり直しは無理?

 弊社に持ち込まれる労働ビザ(居留証)取得の相談の中で、一番困るのが「先日自分で申請したら不許可になってしまったのですが、どうにかなりませんか?」というもの。

 実は外国人の労働許可申請というのは一度不許可になってしまうと、直後に業者を通して申請したとしても初回申請の時より遥かに成功率が下がってしまうのである。

 決して100%無理ということではないのだが、各業者とも無敵の魔法使いではないので、これらはなかなか労を要する案件となる。

 何故、一度不許可になった場合は再許可申請が難しいというと、実は労働局側に記録が残ってしまうので、それを許可としてもらうには不許可となった判断を覆すことになり、それ相応の理由や条件が必要となるからである。

 しかしながら、一度不許可になった直後の再申請の場合は、本人の労働経験や能力が短期間で突然アップするようなことはあり得ないので、書類も結局初回と同じものを提出することになり、決定を覆す要件が原則として何もないことになる。

 逆にもし提出資料の内容を変更して出せば、資料の信用性や誠意に疑いがかかることになり、やはり許可を受けるのは難しい状況となる。
 それ故に不許可を受けた直後の再申請は非常にハードルが上がるのである。

 では、一度不許可を受けてしまうと永遠に再申請のチャンスがないかというと、そんなことはなく、一定の期間を過ぎれば再申請の条件が整うことになると言える。
 つまり不許可となった時期から半年ないし一年などの一定の時間が過ぎれば、その間の職歴や学歴の積み重ねを追加条件として、労働許可申請を行うことが可能になるからである。

 この再申請可能となるまでにどのくらいの時間を必要とするかについては、一概には言えないのだが最低でも三か月程度の待機は覚悟していただきたいというのが弊社の経験上の話となる。

 それ故に、一度失敗してしまうと企業側の社員の採用計画にも狂いが生じるわけで、一度決まった内定を見直さなければならないなど、雇用する方も雇用される方も困ってしまうだろう。
 従って弊社の意見としては出来ることなら許可に不安を感じる場合はやはり最初からビザ業者に依頼して、一発で許可を取れるようにアドバイスを受けつつ進めるのがベストだと思われる。

 労働ビザ(居留証)手続きに関しては一度失敗してから、業者にすがっても時すでに遅しなのである。

中国のビザは入国ビザと在留許可の二段階構造

 中国の外国人に対するビザ制度の構造を把握していない方が時々いらっしゃるので、ここで基本的な部分をおさらいして説明したい。
 中国における外国人ビザというものは大きく分けて下記2種類に大別される。

 ①中国に入国するための目的別の査証(ビザ)

 ②中国に長期滞在するための外国人居留許可証

このうち、①の入国するための査証が一般的にビザ(VISA)と呼ばれているもので、あくまでも定められた目的のための入国に必要な許可である。
 入国つまりイミグレーションを通過する際に入国の目的を示すためのもので、その内容により手続きの際にそれぞれ必要な提示書類を提示して手続きを行う。

 いずれも中国国外に拠点があることを前提に発行されるもので、連続滞在が許可される期間は半年以内の短期となる。
 このため、例えば商貿ビザ(M)の場合は、現地の招聘状のほかに取引先となる母国側の拠点となる法人情報の提示などを行うことになる。

 また申請は基本的に申請者の母国(国籍国)の中国の在外公館で行うために、申請者の母国語の資料だけで手続きが完了する。
 なお、日本など3カ国からの訪問者は観光・文化交流目的の入国の場合は15日間の査証免除(ノービザ)期間が与えられているが、これは治安の良い近隣国からの入国ということで特例的に認められているだけで、例外的なものとなっている。

 これに対して②の外国人居留許可は、原則として中国国内に拠点を置く場合に必要な許可となる。
 就学目的(留学など)の場合や労働目的などがこれに当たり、通称「ビザ」と呼ばれてしまうが、厳密的な意味では「在留許可」と呼ばれるものであり、入国に必要なビザとは区別される。

 中国のこの外国人居留許可証については、原則として所定ビザを取得して中国国内に入国した後、改めて居留許可を取得する手続きが必要となる。
 受け入れ先の学校や会社、家族など中国側の資料提出が必須で、資料のバウチャー(学歴を示す卒業証明書など)が外国語(中国語以外)で書かれている場合は、受け入れ機関の責任において、中国語に翻訳したものを添付することが必須となる。

 このため、例えば家族ビザを取るために必要な婚姻関係を示す書類は、日本の中国在外公館では日本発行の戸籍謄本をそのまま提出すれば問題ないが、中国に別の目的のビザ(観光ビザなど)で入国してから家族帯同の居留許可に切り替える場合は、謄本に対して日本国内の指定機関で認証を受ける必要があるといった違いが生まれる。
 また査証免除が認められている国からの入国であっても、外国人居留許可を受ける場合は、入国の際の査証取得が義務付けられており、ノービザからの切替は認められていないものとなっている。

 ビザと一口に言ってしまうと手続きの際に混乱しやすい中国のビザ・在留許可制度だが、このように知識を整理していただき、是非目的に沿ったビザを正しい手順で手続きして頂きたいものである。