単身赴任で男性が赴任してきたような場合、現地の女性と結びついて国際結婚にいたりすることは少なくない。
そして結婚すれば、次に子供ができるというのは世間の道理である。
ただ、夫婦の愛に変わりなくても、どこで生まれるかによって、子供の将来が大きく変わってきてしまうのが国家の法律となっている。
一応法律上では22歳になるまでは国籍選択を留保でき、22歳になった時点で国籍を選択するというのが現在の日中間の法律的運用となっている。
しかし、日中間では法律的な解釈のすり合わせが行われていないため、時々齟齬が生じ、望むような結果を求めるために非常に苦労をしたという夫婦の話が時々伝わってくる。
その根本原因としては中国側が二重国籍を認めていないため、中国国内で出生した中国人との国際結婚の子供は自動的に中国籍が発生しているとみなされてしまうということ。
そのため、本来は中国国内で生まれた国際結婚の子供は中国側に出生届を出さなければならないとされている。
しかし、現実的には在上海日本国総領事館など日本の在外公館でも出生届を受理してくれる上に日本のパスポートが発給されるなど、日本国籍が取得できてしまうため、中国側の手続きを省略してしまうケースが多々ある。
例えこのような処理でも、そのまま中国を出国し再び中国に入国する機会が無くなるのであれば大きな問題は無い。
しかし、両親の一方が中国人であるなら、再び中国に入国する確率は非常に高く、その際のビザ取得において、「手続きをしていない中国国籍」がネックになってビザ発給を認められないケースが多々あると相談者様などから伺っている。
例えば日本人学校に入学させるための用件として家族ビザを申請しても通らないなどの事態が発生し、中国側からそのお子様は中国国籍が残っているため、中国国籍を離脱してくださいと言われるようである。
しかし、中国側に対する出生届を出していなかった場合、中国側に離脱すべき戸籍すらないわけで、手続きが止まってしまうことになる。
こういった場合、どうすれば良いか?
近道的な正解があれば良いのだがどうやらそんな便利な方法はないようで、やはり最適解としては、一度中国側に出生届を提出し国籍登録を正式に行い、その後それを離脱するという段取りを踏むのが確実なようだ。
こうすれば、正式に中国国籍を離脱することができる。
しかし、これらの離脱手続きにはとても時間がかかるようで、2年という月日がかかってしまったと以前お客様から伺ったことがある。
こんなに時間がかかったのでは、とても学校の手続き始めようと思いついた瞬間から手続きを始めたのでは間に合わないのである。
このようなドタバタを踏まないためには、中国人との国際結婚で生まれる子供は最終的に日本国籍とすることで両親の意向で合意しているのであれば、中国国内で産まないことが一番の予防策である。(それでも100%確実とは言えない)
しかし、どうしても中国で産まれてしまった場合は、学校などの手続きが始まる前の時間があるうちに、上記の手続きを済ましておくことが必須となる。
もちろん、これには子供に対して日本国籍を選択させるという両親の合意が必要で、中国人の配偶者が中国国籍に入ることを望む可能性もあり、十分夫婦間で話し合いが必要な事項と思われる。
また、国籍留保というのは本来は子供に認められた権利であるため、学校入学などの都合で早期の選択決定に迫られるのは仕方ない事情であるにしろ、両親はその意味をよく理解した上で、子供の手続きを踏むべきであろうに思われる。