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転職

新労働ビザ(工作証)政策は新規も転職も労働開始まで2ヶ月以上を覚悟しないといけない。

 昨年10月から試行が始まり、この7月に完全移行となった新たな中国の外国人就業許可(ビザ)制度であるが、徐々にその実情が明らかになっている。

 制度のポイントはいくつか有るが、現時点では新規就業者や高齢者にとって非常に辛い制度となっている。

 特に60歳以上の方は、Aランク相当でないとほぼ認められない状況であり、法人代表や総経理といった役職やポジションに関わらず60歳以上はかなり難しくなっている。
 一応上海市の平均月収の6倍という基準を満たせば合格ラインにはつながるのだが、誰でも満たせるわけではないので結構ハードルが高いだろう。
 平均月収の6倍というのは3万9千元相当とされ、日本の職位で言えば部長クラスの賃金になろうか。

 また、学歴に対する基準も厳しく、一応ルール上では大卒ではなくともポイントで基準を達成すれば通る事になっているようだが、実情としては当局の審査官のほうが大卒者以外を合格させることを怖がっているフシが有り、四大卒以上でないとなかなか合格できない状況となっている。

 そして、何と言っても就業希望者や転職希望者を困らせているのが、必要書類の増加手続き時間の長時間化である。

 例えば、他の地区ではもともと必要だった無犯罪証明書だが、上海では今回から初めて必須となり、これまでより取得手続きに少なくとも2週間ほど余分にかかるようになった。

 さらに、大学の卒業証明書もこれまではコピーで良かったものが、原本かつ中国の在外公館(大使館や領事館)においての認証作業が必要になり、この手続にも2~3週間の時間がかかることになった。

 このように新制度では書類収集に手間が増えたのだが、実はこの書類は外国人工作証(従来の就業証)の新規取得時だけでなく、今までの就業証で働かれていた方が、転職をするときにも必要になっているのである。

 従って、転職される方は従前の勤務先に在職中から書類収集手続きを始めるようにしていかないと、退職後に半月やそこらはすぐに経過してしまうことになる。

 さらに、当局の審査自体も非常に時間がかかるようになった。

 具体的には一般的なBランクへ申請の場合、必要書類の当局サイトへのアップロード後の予備審査に5営業日、この予備審査通過後に実物の紙資料を提出して審査に20営業日を要すると当局は説明しているため、これだけで25営業日、つまり5週間を要することになり1ヶ月を越えてしまう。
 また特殊な職種の場合はさらに10営業日を要する場合があるとしており、この場合は1ケ月半に達してしまうのである。
 で、もし許可通知を得られたとしても、ここから工作証本証を取得するには入国後さらに10営業日(2週間)を要する。

 このほか居留証の申請は従来通り7営業日かかるため、どんなにスムーズに申請できたとし、倒置方式※で申請しても書類を集め始めてから居留証を取得終えるまで2ヶ月は優にかってしまうのである。
(※Zビザ以外のL,Mなどの査証で入国している場合、工作許可通知が出ている前提で居留証へ先行切替が可能で、居留証発行後に工作証の発行手続きを行える)

 このあたり、弊社では多少の時間短縮をご案内できないわけではないが、それなりの時間がかかることには変わりがない。

 しかも書類の不備などでやり直しが発生すれば上記の時間カウントはゼロからリセットされてしまう場合も少なくなく、3ヶ月かかってもビザ(居留証)が取得できないという状況が起こりうるのが、現在の手順となっている。

 結果としてこの間は当の申請者本人は原則として業務で稼働できないので無収入となるわけであり、2ヶ月の非稼働状態は生活の面でも大きな負担になると思われ、日本本社の派遣ならともかく転職の場合は計画的に行動しないと生活がショートしかねないだろう。

今後、当局の方針変更によってこれらの手続き時間が短縮されることも無いとも言え無いが、現状としては相当な時間がかかることを覚悟して新規採用や転職の行動に移ることをおすすめしたい。

中国国内で転職を決めたらビザ(居留証)処理の交渉はお早めに

 中国での転職の際、ビザ(居留証)の残存期間が残っていても、切替え手続きを行う必要があることは、このサイトでも下記の記事などで何度も書いてきているが、辞める会社の無理解や、会社担当者との意思疎通不足により、手続きがスムーズに進まないケースが時々生まれ相談が持ち込まれている。

 転職後はすぐに居留許可の切替えが必要な中国のビザ制度
 転職時のビザ許可の条件審査はぼぼゼロから

 
 どういうことかというと、旧勤務先の会社担当者が、離職者本人の離職後の都合を考慮せず、就業証と居留証(労働ビザ)の取消し手続きを行ってしまう場合があるのである。

 この場合、就業証の取消しだけであるならまだしも、居留証の取消まで行われてしまうと、残念ながら居留証の期限までの出国が必要となってしまう。

 しかも転職先でのビザ取得に関しては新規の手続き扱いとなり、書類の点はともかく、中国に滞在したままの転職が出来なくなり、移動時間や費用などの面でロスが生じてしまうことになる。

 中国の居留許可は期限切れたらゼロからやり直し、だが・・・

 離職者にとっては、別の会社での仕事をスムーズに開始できなくなるわけであり、非常に面倒臭い状況となってしまうので、旧所属会社への恨み言の一つも言いたくなるかもしれない。

 しかし、その元の所属会社にも手続きを確実に進める理由がある。
 実は外国人が退職したなら、すぐに就業証を取り消さないと、次に外国人を雇うときに障害となる可能性があるのである。
 
 即ち、一つの企業に対して外国人を雇入れられる人数には限度があると言われており、辞めた外国人の分だけ枠を空けないと次の外国人を雇えなくなる可能性があると言う理由から、退職者の就業許可取消を急ぐのである。

 日本のプロ野球やサッカーが外国人枠を決めているのと同じ理由である。

 そしてもし、会社を辞めた外国人がいつまでも帰国せず理由(労働や就学など)のない滞在を続けてしまえば、離職手続きを適切に行わなかったとして旧所属会社が処罰される可能性もある。

 つまりこういったリスクを避けるために、企業側は雇用関係の終わってしまった外国人の就業許可やビザを速やかに取消ししたいと手続きを急ぐのである。

 故に、旧所属会社がビザの取消し手続きを急ぐことを責めることは出来ないものとなっている。

 されど離職者にとってはやはりなるべく出国せずに転職をスムーズに進めたいというのも本音である。

 ならば、どうするか?

 このあたり、残念ながら具体的な特効薬などはないのだが、離職者本人が転職を決めた時点で、会社側の手続きが始まる前に交渉を進めることが大事となってくる。
 即ち、退職後にすぐに就職することを伝え、就業証の取消しをしなければそのまま新所属先の会社の就業証に切り替え可能な制度となっていることを理解してもらう必要がある。

 そのためには、退職する会社の信用を得ることが大事であり、離職後にすぐに手続きを開始する旨の誓約書を出すなどして、旧所属会社に迷惑をかけないことを伝え信用してもらうことになる。

 とは言え、辞めるに至った会社の場合、100%の信用関係がないから解雇や辞職に至っている可能性が高く、確実な信用を得ることはなかなか容易ではないのも現実となっている。

 従って、例えば弊社のような第三者を入れて交渉するか、あるいは最終賃金の一部を金銭的な担保として提案して、就業証の会社変更手続き完了後に返却していただくなどの方法で信用を担保するなどの方法を考える必要が出てくる。

 何れにしても、上述のように居留証の取消まで進んでしまった場合は、出国が必須となってしまうので、手続きが進む前にじっくりと会社に説明し交渉することが大事である。

 間違っても会社の上層部とケンカ別れをして飛び出し、退職手続きすらしてもらえないような状況に陥らぬよう気をつけたい。

第三国にいる人を雇う場合のビザ手続き「落地査証」

 日本に限らず世界中で人の交流が盛んになっている現在、自分の出生国とパスポートが一致しなかったり、国籍と違う国で働いている人も少なくない。
 そしてそのような国籍と働く場所が一致しない場合、外国から外国へ転職するケースも発生し、必ずしも母国へ帰れる状態ばかりではないものとなる。
 
 このような第三国から入国して中国の就労ビザを取得する場合に、母国へ帰る必要のない便利な制度が、昨年2015年からスタートしている。
 これは通称「落地査証」と呼ばれているもので、中国の在外公館(大使館など)のない地域や母国以外の第三国から就職のためなどで中国に入国する場合に適用される制度である。
 具体的には外国人に対する就業許可が出た段階で、指定の書類を第三国にいる被雇用者に送り、それを受け取った本人が予め申請した航空便で中国に向かうことになる。

 そして本人が中国の国際空港に到着した際に、入国審査直前に入国用ビザの手続きを行い、それを持って中国国内に入国することになる。
 このように中国の空港に到着した(落地)時点で査証を得られることから、パスポートの発行国の母国に帰ること無く就労ビザなどの取得手続きを進められるのである。

 ただし、この落地査証制度はあくまで 中国の在外公館(大使館など)のない地域や母国以外の第三国から入国する方のための補完制度のようなものであって、例えば日本人が日本から就職するために入国するような時には利用できないものとなっている。

 また、この制度を利用できる空港(入境地)も限られており、どこの空港でも指定できるものではなく、到着に利用する航空便も予め指定したものから原則変更できないなど制限は多い。

さらに準備する中国の国内側でも、本人に送る書類取得のために空港に出向いて手続きをする必要があったりなど、通常の就労ビザ手続きよりは煩雑になる。
 このようなことから、「落地査証」制度はあくまで特殊なケースのための制度となっている。

 このように、一般的なケースでは適用しにくいこの「落地査証」制度だが、実際そのようなケースが発生した場合は時間や費用を節約できることになるので、皆さまの頭の片隅にでも置いておいていただきたいものとなっている。

転職時のビザ許可の条件審査はぼぼゼロから

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 会社所属を基礎とする中国の労働ビザ(居留許可)では、中国国内で転職(転勤)をする際には「変更単位」という形で就業証やビザ(居留許可)の変更手続きを行なうことになっているが、実は「変更」とは言いながら、手続きそのもののは新規で手続きする場合とあまり変わらないものとなっている。

 この点同一会社での所属のままビザを継続延長する場合は、主に本人のパスポートの有効性と会社の営業許可の有効性程度しかチェックされないので、非常に簡素な手続きとなるのだが、これが転職となるとほぼゼロから審査となってしまうのである。
 このため、「変更単位」に必要な書類などは新規手続きの際とあまり変わらず、新規申請時同様に卒業証明書の書類などが必ず必要になってくる。

 「変更単位」の手続きにおいて省略される主に手順と言えば、国外でビザ取得後の入国(つまり中国からの出国)と、健康診断程度のものであり、新規よりは確かに楽だが書類自体はあまり減らないのである。

 更に新規申請と同じ書類が必要になるということは、労働許可の審査の際も同じ目線で見られることになり、転職なので中国での勤務実績がある分だけ新規の場合よりはやや有利な面はあるものの、基本的にはゼロからに近い判断基準となることを覚悟した方が良いのである。

 特に最初に労働ビザ(居留許可)を取得してから長期間が経過している場合などは、延長を繰り返している間に外国人の労働許可条件が厳しくなっている可能性があり、以前は許可になった人でも現在の基準だと不許可になる可能性が捨てきれないものとなっている。

 つまり、従来のまま延長を繰り返しているうちは問われないことも、転職をしようとした途端に改めてチェックされ審査に引っかかる可能性が出てくることになる。

 それ故に、中国国内で転職する際には今まではビザを取得出来ていたからと安心せず、不安な場合は弊社や関係機関によく相談されてから動くことを是非お勧めしたいものとなっている。

中国のビザ取得には滞在理由が必要

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 最近、よく受ける質問の一つに「転職しようと思っているのですが、まだ仕事が見つからないので、その間のビザはどうしたら良いでしょうか?」というもの。
 中国の中でも上海は特に日本人が増え、治安もそれほど悪くないので日本国内とほぼ変わらない感覚で滞在できてしまうし、言葉が出来なくてもストレスはあまりないし、日本料理屋や日本食スーパーも多く暮らしやすい。

 なので、上海の中で転職を繰り返す人も数少なくなく、色んな職を転々としながら上海に住み続ける人も少なくない。

 しかし、この最初の質問にはやはり困ってしまう。 

 上海は日本人がいるのが当たり前の状態になっており日本と同じように過ごせるようにはなってきているが、何だかんだ言っても上海は外国であり日本ではないのである。

 従って、日本の国内のように何の理由もない人にビザは発行されず、上海は滞在し続けられる場所ではなくなる。

 日本国内であれば、職を辞めた後の数か月の求職期間があっても備蓄があって生活さえ成り立てば、所属もなく居続けることには何の障害も無いのだが、外国である中国ではそうもいかず滞在を続ける理由が必要になる。

 もちろんその理由は何でもよく、就職でも留学でも配偶者の家族としてでも良いのだが、とにかく滞在するための理由が必要となる。

 ただ当然のことながらビザというものは、自分がそうしたいと言えば発行される訳ではなく、現地の招聘状なり何なり必要な書類を揃えて初めてビザ発行が可能になるわけで、手続きにはそれなりの手続きを踏まなくてはならず、さらに滞在したい理由を担保してくれる相手や機関が必要になる。

 まあ中国に滞在するのに一番簡単に取得できるビザは恐らく「観光ビザ(L)」であろうが、これとて最低限の手続きは必要で、現行の制度では国外の在外公館での取得が必須になっていることから、冒頭の記述のように上海の会社を退職して就職活動するような場合は、そのまま連続滞在は出来ずビザ取得手続きのために一回出国する必要が出てくる。

 しかも観光ビザの場合は観光が本来の目的であることからそんなに長期間滞在できるわけではなく、上海で就職活動するにしても上限があることになる。

 そこは上海が日本人に対して懐が深いように見えても外国であるが故の避けられない敷居である。

 ただ逆に、上述のように「理由」さえ成立すれば、上海は滞在が可能ということになるので、実際にその「理由」を見つけられるかどうかが、冒頭の質問の答えとなるわけである。

中国の居留許可は期限切れたらゼロからやり直し、だが・・・

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 中国の就労ビザや居留許可には当然のことながら、有効期限があるのは御存じの通りだが、これらのビザや居留許可は一度切れると当然のことながら新たに許可を取り直すことになる

 まあ日本の自動車免許証などでは「うっかり失効」という扱いがあり、さらに海外滞在中であったなどの理由のある場合は6ケ月以上でも3年以内なら、学科試験などが免除されるようだが、残念ながら海外滞在の許可となっている中国の居留許可の場合は、こういった「うっかり失効」などという扱いは無い。

 延長手続きをしないまま期限を過ぎると居留許可は失効しオーバースティ、つまり期限切れの不法滞在状態となる。
 この場合は、1日につき500元の罰金が科されるとされ最大5000元までの過料を取られるようだ。

 そして居留許可についても、その後も継続して滞在したいとしても、ゼロからやり直しの新規扱いとなり、例えば就業理由の場合は出国(出境)が必要となって、当然のことながら往復の渡航費まで発生することになる。

 こういったオーバースティのケースでなくとも、もし転職をする場合は、前職の居留許可(ビザ)が転職のタイミングで切れてしまう場合はやはり新規の扱いとなる。

 つまり居留許可(労働Zビザ)のことを意識すれば、転職は居留許可の残存期間に余裕があるうちに転職すれば、就職先変更(変更単位)で済むので出国の必要は無くなり、面倒な手続きも出費も減ることになるので、仕事を辞める時期は居留許可の残存期間を意識した方が良いということになる。
 もちろん、残存期間があって転職しても、就職先変更登録は直ぐに行うことが原則なので、忘れずに新しい就職先やビザ代行会社に相談されたい。

 ところで、中国の居留許可証(ビザ)にうっかり失効扱いという救済策はないが、直前の居留許可が切れてから3ケ月以内に新規の居留許可手続きを完了させれば、健康診断だけは免除されることになっている。
 (手続き開始ではなく完了する必要がある)

 さすがに出国(出境)して日本で労働ビザ(Z)を取得するという段取りまでは省略できないが、健康診断が省略されるだけでも手続きはだいぶ楽になるだろう。
 とにかく、ビザ関連の手続きというのは可能な限り期限を過ぎないように手続きを始め、万が一切れたとしても素早く行うのが原則なのである。

中国内の国内転勤もビザの変更が必要

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北京での社会保険料徴収開始に伴い、上海へ外国人の籍を移す企業が増えていると聞く。
上海ではまだ社会保険料(年金)の徴収が開始されていないため、同じ給料の社員であっても北京と上海で企業の支出に年間にすると相当の差が出てしまうようだ。
 そこで、今回のように北京にいた外国人社員を上海の支社などに移すことになる場合、やはりビザの変更手続きが必要になる。

 中国では各都市の労働人材管理は各都市の労働局に判断が任されており、公安による外国人の居留管理の観点から言っても、全国共通でどこでも自由に動いてよい状態にはなっていない。

 従って、外国人社員を北京から上海に移す場合は、労働局の管轄が変わることになるので、就業証の変更と居留証の変更が必要になるのだが、企業側にとっては系列支社への社内転勤のつもりであっても、本人の手続きとしては転職と同様に別会社から移籍してきたことと同様の手続き処理をすることになる。

 ここで気をつけたいのは、勤務地が変わる場合は通常の同一地域内転職手続きと違って二段階の手続き処理が必要になるということ。

 すなわち、転出する側と転入する側の労働局それぞれで手続きが必要になる。

 今回のケースで言えば、北京で退職処理をしてから、その書類を持って上海で入社手続きをすることになり、同一地域内転職が一度で済む手続が、勤務地が変わると一度では済まなくなるのである。
 それ故に、転勤したからと言って、北京で退出手続きを経ないでいきなり上海にやって来ても手続きが出来ず、北京で手続きを終えてから来てくださいということになる。
 この点、ご当地主義を取る中国では気をつけたいところであり、現在のように上海と北京の社会保険の実施状況に差異があるうちは、沢山起こりうる状況と言える。