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中国ビザの原則

Mビザでの違法労働摘発で怖いのは罰金より中国の税金

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 最近、上海でMビザで働いていた日本人が摘発され始めている状況は先日ここにも書き、高額の罰金が科せられていることを書いた。
 先日の例で言えば、企業への罰金が2万元、個人へも5000元の罰金が科せられたとのこと。

 まあ、この罰金だけでも償いとしてはかなりの出費だが、ある人に言わせるとこのMビザ違法労働が見つかって怖いのは、実は罰金より税金だという。

 何故ならMビザで中国で働いている状態ということは、本来Mビザでは働けないのだから労働局には届けがない状態であり、所得に対して税金がかからない状態になっている。
 こういった場合の多くは、中国の現地でも幾らかのお金が支給されているが、賃金の本体は日本で日本円で払われているケースが少なくないと聞く。

 しかし中国のルールでは183日(年間の半分)を越えて中国に滞在すれば、賃金の支払い場所いかんに関わらず、その収入は全て中国の所得税の対象になってしまう。

 しかも中国の最高税率は40%近くにもなり、高額所得者の場合は給料の半分近くが税金に持って行かれることになる。
 もし日本と税制と二重課税になった場合は収入の大半が税金に消える計算になるため、日本からやって来る駐在者は、日本国内での税法上の立場を非居住にして、中国だけの課税対称となるように切り替えているのが通常の対応となっている。

 しかし、Mビザ労働者の場合は恐らく中国の税法から逃れ日本の所得税対応のみになっていると推測されるため、中国国内の法的立場は脱税状態になっていると言える。
 もし、このような状態でMビザでの違法労働が発覚した場合、恐らく過去数年分の日中両方での収入が調査され、追徴課税を課される可能性が高いと見られる。

 そうなると、Mビザ労働を続けていた年数にもよるが、かなりの高額の追徴課税が科されることになり、場合によっては企業に存続に関わる場合も出てくるだろう。
 もちろん罰金は罰金として科されるのは言うに及ばない。

 従って当局に摘発される前に、自主的に就労ビザ取得手続きを行なうのがリスク回避のための安全な手段と言えるのである。

パスポートの更新は中国ビザ(居留許可)期限の51日前開始がベスト(訂正済み)

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中国に滞在されている方によく質問されるのが、パスポートを更新する時に居留許可(ビザ)はどうなるかという質問である。
 まずこの点は結論から言えば、パスポートを更新しても、手続きさえすればビザは有効という答えになる。
 ただ、この質問と合わせてビザとパスポート双方の更新期限が接近している際の更新の段取りはどういった順番が良いかという質問も良くされる。

 ここでまず考え方を整理するため基本として押さえておきたいのが

 ・日本のパスポートは1年前から更新が可能で手続き期間は約1週間
 ・中国の工作証(旧就業証)の延長は90日前から手続き可能で、所要期間は約2~3週間、居留許可は1ケ月前からから延長更新可能で所要期間は約11日ということ。

    ⇒工作証の延長手続き、30日前までに開始しないとやり直しに(2018年2月末より)
    

 そして、当たり前の原則だが

 居留許可(ビザ)の最大発給期間は、パスポートの有効期限まで

となる。

 するとベストの更新時期が自ずと決まり、ビザ(居留許可)の有効期限の1ヶ月前+7日の37日前頃がパスポート更新手続きを開始するベストの時期1ヶ月前+3週間(工作証)+1週間(パスポート)⇒58日となる。

 何故ならこのビザ(居留許可)の更新期限に合わせてパスポートの更新を行なうことによって、パスポート更新に伴う登録情報変更の手続きと、ビザ(居留許可)の延長更新手続きがいっぺんに出来るからである。

 もちろん、従来のビザ(居留許可)の期間中にパスポート番号変更のみの手続きも可能ではあるが、実は手続き的にはビザ(居留許可)の延長手続きとほとんど変わらないため、どうしても連続して手続きを行なうことが出来ないような特別な事情がある場合を除いて、単独で行うのは手間であり費用も少額とは言え、ちょっともったいないからである。

 ちなみに、パスポート(旅券)の更新(というか現実には再発行の形になるが)は日本でも中国の領事館でも可能で、約1週間で更新できる。
 この際気をつけたいのはパスポートを更新すると、パスポート番号も一緒に更新されてしまうので、パスポートを身分証明書として使用してきた関連する書類は全て刷新する必要があるということになる。
 銀行のカードや携帯電話の登録、さらに場合によっては住居の賃貸契約書など結構多岐にわたるので注意する必要がある。

 そして、もし日本でパスポートを更新した場合は日本からの出国、中国の入境ともに新パスポートで行うが、中国の入国手続きの場合は旧パスポートが必要になり、居留許可の貼ってある古いパスポートを両方提示して入境し、入境カードには従来の居留許可番号を記載する。

 で、入境後そのまま公安局の出入境管理局に手続きに行けばよいかと言えば、パスポート番号が変わってしまっているので臨時住宿証明書も更新する必要があり、管轄の派出所にも出向く必要がある。
 処理自体に10分もかからないと思うが、必ず必要な手続きである。

 そして就業証もやはり登録変更が必要であり手続きに5営業日程かかる。
 もちろん最後は出入境局へ赴くことになるが、これも7営業日ほどかかる。

 つまり、居留許可の延長であろうが更新だろうが結局はトータル2週間以上かかるこの手続きであり、これを年間2回もこなすのはやはり面倒であろう。
 誰しも面倒な事を1回で済ましたいのは当然で、さすれば居留許可更新期限に合わせて、その37日前58日前頃に手続きをスタートさせれば、2度の手間をかけることなく同時に更新できて、手続きが1度で済むのでベストと言える。

留学ビザ(X)の期限が切れるまでは中国の就労ビザ(Z)は取得できない。

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 日本で働いていた方が、一旦上海などに留学し、その留学中に就職先を見つけて上海でそのまま就職するケースが時々見受けられる。
 まあこの際に問題になるのが、留学ビザ(X)と新規に取得する就労ビザ(Z)の関係である。
 留学ビザ・就学理由の居留許可というのは、やはり就学が許可された学校があって初めて許可されるものなので、大原則として学校の就学期間とシンクロして発行される。

 それ故に、就学理由の居留許可というのは就業理由の居留許可同様に自分勝手に短縮することが出来ないのであり、原則として「留学ビザ(X)・就学理由の居留許可」の期限が満了するまでは次のビザ手続きに移れないルールとなっている。

 従って、留学ビザ(X)→就労ビザ(Z)へ切り替える場合などは、居留許可の期限到達を待ってからでなければ就労ビザの手続きに入れず、さらに取得手続きは中国の在外公館で行うため、留学ビザ(X)の期限が満了する時点で中国から出国している必要があるのである。
 具体的に言えば、例えば6月30日までの就学理由の居留許可で中国国内に滞在していた場合は、7月1日0時の時点で中国国内にいてはならず、日本なり香港(国外扱い)なりに出て、0時が過ぎるのを待つ必要がある。
 もしその居留許可のまま7月1日0時を過ぎれば、不法滞在状態となり罰則の対象となってしまうのである。

 しかし国外で0時を過ごせばそれまでの居留許可の期限拘束から解放されるわけで、日本人ならばそこからもう一度再入国しても今度はノービザ扱いということになり15日間の滞在はOKとなる。
 さらにこの時点で新たにビザの手続きが可能になるので、その新規のビザで中国滞在も当然可能になる。
 いずれにしても、居留許可期限時のの国外出境は必須であり、1日早く出ても1日早く入れるわけではなく、期限切れの時点で中国国外にいる必要があるのである。
 もちろん、重い病気で入院した時など、どうしても出境できない特別な理由がある場合は、手続きすれば臨時の延長許可も出ないこともないが、そういうことは例外中の例外と考えた方がいい。

 じゃあ、留学ビザをとってしまったら、許可期限まで就学しないと次のビザに切り替えられないかと言えばそんなことはなく、会社の離職証明書同様に、退学証明書を学校に発行してもらえばよいのである。
 退学証明書を出してもらえば、その退学日でビザを打ち切ることが可能で、次のビザ手続きをスタートすることが可能になるのである。

 ただ、その場合はその就学先の修了証なり卒業証明書が出ない可能性が有り、安易な退学を行なうと就学期間が無駄になる可能性もあり、キャリアにカウントできなくなる場合も出てくる。

 しかもその場合でもビザ期限満了時点も国外出国は必須で、期限が切れてからの新手続き開始の原則は変わらないことは注意する必要がある。

  従って、就学理由の居留許可の有効期限というのはある意味で就労の居留許可より重い意味を持っているとも言えるのであり、その重要性をよく理解して行動日程を立てる必要がある。

中国の外国人居留許可(就労ビザ)は会社の営業許可期限までしか更新延長できない

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 先日、弊社にビザの延長を依頼されてきたお客様の中でやや特異なケースがあった。

 このお客様は本人が居留許可証を延長更新したいというので弊社に依頼があったのだが、書類を確認したところ、本人の所属する会社の営業許可証の期限が来年の2015年1月までとなっていた。
 もちろんその会社自体に問題があるわけではなく、単にまだ営業許可延長の手続きを開始していなかっただけのことなのだが、とにかくその会社の営業許可は来年の1月までの7か月しか期間が残っていなかったのである。

 そうすると、残念ながら企業を基礎として雇われる従業員の労働ビザ・居留許可に関しても、ビザが取得できる期間は会社の営業が許可されている範囲の期間となり、今回は最大でも会社の営業許可が出ている来年1月までしか取得できない状態だったのである。

 本人は過去の慣例通り1年間の延長を希望していたようだが、残念ながら会社の営業許可期間を越えての延長はできないのである。

 ならばと慌てて会社の営業許可の延長手続きを始めるにしても、残念ながら最終的な結果が出るまで少なくとも1~2か月かかるのが通常で、ちょっと今回のビザ延長の手続きには間に合いそうもなかった状態であった。

 今回は仕方なく、本人のビザは会社営業許可がある1月までの延長となり、会社の営業許可の延長後の年末に、また改めて延長しましょうということになったのである。
 1年経たないうちに再延長は勿体ないし面倒くさい状況であるが、どうにも仕方のない状況となってしまった。

 そういえば2000年代前半から急激に増えてきた登録企業は、もし10年の登録期限ならば、ここ数年で急激に期限を迎えるはずであり、今後こういったケースは増えそうである。

 皆様も自社の営業許可期限には十分ご注意を!
 

中国のビザは本当に外国人に厳しくなったのか?

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 昨年2013年9月に中国の出入国管理法令が変更され、中国における外国人のビザ発給その他が厳しくなり、中国で働くのが以前より難しくなったとされる。
 それ故に中国における外国人に対する規制が厳しくなったとも言われる。
 果たして本当にそうなのだろうか?

 これはあくまで個人的な見解だが、昨年の法律改正は外国人に対して厳しくしたというより、中国国内の引き締めを図って、今までナアナアで済ましていたことを法律本来の趣旨にのっとって、厳密に行政事務処理を実行しようと物事が整理されただけなのではないかという気がするのである。

 例えば、Fビザの扱いだが、これはもともとも中国国内での労働を認められたビザではないし、発給してもらうには中国国内の機関や企業が発行する招聘状が必要だったはずであるが、何故かパスポートだけを持って行って手数料を払うだけで発行してくれる旅行社などがあった。

 そしてそのFビザを持って中国国内で働いていた外国人がかつて大勢いたのである。

 察するに、かつてのこのFビザ発行には、“招聘状を発行してくれる機関を自動的に紹介してもらうシステム”が確立されていたのではないかと思う。

 それ故に、招聘状を持たずともパスポートだけでもFビザが発行されていたように見えるケースがあったのであり、およそお金さえ払えばビザが取れる状況になっていた。
 しかし、こういった無制限無秩序とも言える招聘状のバラマキにストップがかかったのが、近年の規制であり、昨年の法律改正だったように思える。
 つまり、今回外国人に規制をかけたというより中国国内での無秩序な書類発行を正したというのが本当の実情ではないだだろうか。
 それ故に実は法律にのっとった正しいやり方でビザを申請する場合においては、外国人に対して特に厳しい状況になったとはあまり感じないのである。
 FビザやMビザの労働はもともと禁止されているし、発給に招聘状が必要なのは昨年の法律改正以前からの話である。

 確かに昨年以降に取締りや審査が厳格になった面はあるかもしれないが、どちらかと言えば今までが余りにもユル過ぎたのであり、まっとうな方法で手続きを行なう上では必要以上に恐れる必要はないと思える昨年の法律改正だったような気がする。

海外の就労ビザ取得は職種と職歴の一致がコツ

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 転職活動をやったことのある人なら分かると思うが、仕事を探す際に人材会社などでまず提示させられるのが、過去にどんな仕事をやってきて、あなたは何が出来ますか?ということ。

 採用したり人材を紹介する側からすれば当然の質問であり、その本人を自社や取引先に入社させて、会社でまともに活躍できるかどうか見極めるのだから、どんな能力を持った人間か知りたく、そういう質問がなされるのである。

 しかし、実は転職する人の中には「今までと違うことをやりたい」から、転職する人も少なくない。
 そんな人にとっては過去のキャリアは邪魔になるし役に立たないのだが、過去のキャリアを基礎とさせられる転職活動の上で、異業種転職というのは非常に困難で、なかなか容易には成功しない。
 アルバイトならともかく、会社の戦力として必要なキャリアを持っているとは言えないからであり、本人の希望する違う世界に飛び込むには全く下積みからスタートすることを余儀なくされるのである。

 実は海外での就労ビザの取得にも同様のことが言える。 

 海外で就職を目指す人は、日本という枠を飛び出して「海外という新天地で新しいことに挑戦したい」と意気込んで飛び出す人も大勢いるし、そのくらいの勢いがなければ、なかなか日本国内から飛び出すことはできないだろうが、実際問題において「海外で」と「新しいこと」を両立させるのはやはり容易ではない。

 その容易ならざる壁の際たるものが就労ビザの取得で、以前も書いたように外国人に就労ビザを発行して国内での就労を許可する理由として「国に利益をもたらす優秀である人」が建前上の大前提になる。
 それ故に、職歴の無い人や学歴の足りない人に就労ビザが許可されないのであるが、例え過去に2年以上の職歴が有ろうとも、就職しようとする職種とこれまでやってきた職歴が一致しなければ、業務を遂行できる「優秀な人材」とは判断できないわけで、やはり就労ビザの許可は相当難しいという状況になるのである。

 例えば、優秀とされる医学部を卒業したような人でも、申請職種が「営業」で申請しされたのでは能力不適格で許可されないのであり、人事採用とほぼ同様の判断が行われることになる。
 それ故に「海外で」と「新しいこと」を両立させるのはやはり容易ではないという結論になる。

 では、素直に諦めるべきか? 

 実は中国では書類形式主義的なところのあるがあるので、書類上の矛盾さえうまく解消されていれば、許可は通されている現実がある。
 つまり嘘にならない範囲で、言葉の表現次第で職歴と採用職種をうまく近づけ一致させてしまうことは可能なのである。

 さらに、採用後のその職種と厳密に一致するかどうかなどの調査が実施されるようなことは滅多にないし、過去の職歴についても犯罪的な悪質な内容でなければ追跡調査されることもまずないので、書類と現実の極端な乖離が無い限り、問題になることはないのが現状である。
 つまり書類上の微妙な表現の矛盾に気を付けるだけで、通りやすくなる面があるということになる。

 もちろん、今までと全く違う職種で世界を目指す人がいても個人的には応援してあげたいが、現実面から言えば、日本で関連する仕事を2年ほど経験してから挑戦した方がやはりビザも取得しやすいし、キャリアの面から言っても日本で経験のないことがいきなり海外で出来ると思わない方が良いというのが実際の現実である。

駐在の奥さんが仕事を始める場合の中国でのビザ手続き

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 駐在員の奥さま達の中には中国に来られたあとに、時間を持て余して何かしら仕事を始めたいと考える方も少なくない。
 こういった奥様達の場合、たいていは御主人の就業ビザに付随するという意味でS1(家族ビザ:中国語では私人ビザがSの由来)で入境し、労働者本人の家族という理由で居留許可を取得しているケースがほとんどなのではないかと思う。

 しかし、中国の法律から言えば、このS1ビザで入境した人の中国国内での労働は認められていないのである。

 まあほんのアルバイト程度の労働ならば動くお金も少ないし、例えば日系病院の日本人向け受付のような場合は名前そのものが表に出ることもないので、こっそりS1の家族ビザのまま働いていても摘発されることはほとんどないと思われる。
 しかし、堂々と名刺を沢山配る営業職などは明らかに労働してることが公になるし、報酬にしてもそこそこまともな金額が支払われるので、やはり労働者と認定されること必須で、家族ビザのままでいれば隠しきれず違法労働ということでいずれ摘発される可能性がある。

 つまり結局は、そういったまともな働き方をする場合は、駐在の奥さんという立場があっても、ビザの取り直しが必要になり就労ビザ(Z)の取得手続きをほぼ1から始めなくてはならないことになる。

 この就労ビザを取得するということは、つまり当然のことながら国外から入境という段取りが必要になることを意味し、必然的に出国も必要となるので渡航費その他が嵩んでくるし、時間もそれなりに必要となる。

2016年にルール変更「新規労働ビザ取得時の一時出国が不要に、但しノービザは駄目」

 また逆に仕事を辞める時も同様で、仕事を辞めた途端に原則として就業証も取り消されるのが法律的原則となっている。
 つまり、すぐに転職して別の仕事を始めるにしても、無職になり駐在のご主人の専業主婦に戻るにしても、またもや居留許可の理由変更手続きが必要になるということになる。
 もし居留許可の変更手続きを行わないまま就業証が取り消された状態で放置すれば、状況によっては不法滞在として罰金対象になってしまうことにもなりかねないので、やはり手続きは必須となる。

 まあ長期で働くのであれば仕方ないこれらの手続きも、短期で就職・離職を繰り返していてはその都度手続きが発生するわけで、かなり面倒な状況だろう。

 しかもこうやって手続きを繰り返せば、当然のことながら代行業者に頼む頼まないに限らず手続きの度に最低限の手数料がかかるわけで、就職時に就職先の会社がビザ取得費用を負担してくれたとしても、まさか退職時に再びS1の家族ビザに戻る時の費用までは、駐在の御主人の会社を含めてどこも負担をしてはくれまい。

 まあ日本国内の就職だって採用側は社会保険の加入脱退手続きなど、人が出入りすると想像以上に面倒くさい処理が発生するのだが、外国である中国ではそれ以上に面倒くさいものとなっている。

 それ故に、駐在の奥さんで中国にやってきた場合は、時間が余っているからと言って日本国内と同じ感覚で気軽に短期で仕事を始めたり辞めたりするわけにはいかないのである。

 よって、駐在の家族の立場から新たに働きたいと考える場合は、そういった手続きの面で面倒くさいことを乗り越える必要があることを予め心して働くべきなのである。

中国内の国内転勤もビザの変更が必要

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北京での社会保険料徴収開始に伴い、上海へ外国人の籍を移す企業が増えていると聞く。
上海ではまだ社会保険料(年金)の徴収が開始されていないため、同じ給料の社員であっても北京と上海で企業の支出に年間にすると相当の差が出てしまうようだ。
 そこで、今回のように北京にいた外国人社員を上海の支社などに移すことになる場合、やはりビザの変更手続きが必要になる。

 中国では各都市の労働人材管理は各都市の労働局に判断が任されており、公安による外国人の居留管理の観点から言っても、全国共通でどこでも自由に動いてよい状態にはなっていない。

 従って、外国人社員を北京から上海に移す場合は、労働局の管轄が変わることになるので、就業証の変更と居留証の変更が必要になるのだが、企業側にとっては系列支社への社内転勤のつもりであっても、本人の手続きとしては転職と同様に別会社から移籍してきたことと同様の手続き処理をすることになる。

 ここで気をつけたいのは、勤務地が変わる場合は通常の同一地域内転職手続きと違って二段階の手続き処理が必要になるということ。

 すなわち、転出する側と転入する側の労働局それぞれで手続きが必要になる。

 今回のケースで言えば、北京で退職処理をしてから、その書類を持って上海で入社手続きをすることになり、同一地域内転職が一度で済む手続が、勤務地が変わると一度では済まなくなるのである。
 それ故に、転勤したからと言って、北京で退出手続きを経ないでいきなり上海にやって来ても手続きが出来ず、北京で手続きを終えてから来てくださいということになる。
 この点、ご当地主義を取る中国では気をつけたいところであり、現在のように上海と北京の社会保険の実施状況に差異があるうちは、沢山起こりうる状況と言える。

総経理のビザにも社長歴が必要

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 総経理といえば中国では、基本的に「社長」を意味する役職で、お金を握っている会社で一番エライ役職となる。
 しかし、日本の株式会社の仕組みを知っている方なら理解されると思うが、中国の総経理というのは、日本の社長同様に会社のトップではあるが結局は「雇われ」の役職となっている。
 つまり日本の仕組みで言えば、会社の所持者は「株主」であり、その株主の意向に従って選任され会社の運営の方針を決めるのが「取締役」などの役員であり、実際の会社運営にあたるのが現場の総責任者である「社長」となる。 

 この「社長」は代表取締役と兼務する場合を除けば、単なる会社組織のために雇われた一つの役職に過ぎず、雇われの身分となる。
 そして中国における「総経理」というのも、やはり同様に株主側の人間が兼任することもあるが、商法的に言えば別の存在で日本の社長同様に「雇われ」の任職身分とされる。
 そのため、外国人が中国で総経理の身分でビザを取得するためには、それに適した人材である「優秀な人材」であることを証明する必要があり、会社がその外国人を「総経理」として迎え入れるだけの説得材料が必要になるということになる。
 そこで実は必要になるのが「社長としての経歴」であり、一般社員の職務履歴同様に会社を経営してきたことがあるかどうかを問われるのである。
 もちろん上手な経営をやってきたかどうかなどの細かな中身の説明は必要ないが、経歴として「経営をやってきたことがあるか」を問われ、そのため一般職同様に2年の社長経歴が必要とされる。

 まあ先方の理屈から言えば、会社の経営をやったことがない外国人をいきなり経営者に雇い入れるのはおかしいということであり、至極最もな理屈ではある。

 それ故に社長をやったことない人はいきなり総経理のビザを取得するのは難しいということになる。

 ただ、これにはテクニックがあり、外部招聘ではなく内部昇格の総経理ならば、その仕事や会社をよく知っている人物という判断になるので、社長経歴がなくても総経理ビザをとることが出来る。
 故に、新設の会社などでは普通のやり方では外国人がいきなりに総経理になるのは難しいので、当面は代理の中国人の名前で総経理を立てるなどをして、外国人は一定の時間が経過をするのを待ってから内部昇格ということで総経理に昇格し総経理としてのビザを取得するのが一般的な道筋となるかと思われる。