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居留証

中国入国の際のパスポート残存期間について

 ビザを専門に扱っている弊社に対して、時々寄せられる質問が、入国の際のパスポート残存期間についてである。

 一部のサイトやガイドブックなどは、「中国入国時にパスポートの残存期間が半年以上残っていることが望ましい」などの記載があるため、居留証を持っててもパスポートの残り期間が半年を切ってしまうと入国出来ないのではないかと不安になるようである。

 しかし、この疑問は結論から言ってしまえば心配ないということになる。

 上記でいうところの半年以上の残存期間というのはあくまで推奨すべき状態であって、絶対条件ではないものとなっている。
 したがって、パスポート期限まで残り1か月であろうが居留証やその他の入国ビザを持って入国する分にはビザの期限いっぱいまで中国国内に滞在しても何ら問題ないことになる。

 逆に言うと、パスポートの期限までしかビザ(居留証)は発給されないので、滞在が可能な期間はパスポートに依るものとなっており、パスポートの期間を超えてはビザ(居留証)を取得することはできず、当然滞在も不可となる。

 ではノービザ入国の場合はどうなるかと言えば、あまりこのケースを聞いたことがないので推測となってしまうが、ノービザ期間の15日分が有効のパスポートを持っていれば入国は可能となる思われる。
 ただし、このような期限ギリギリの場合はやはり入国の際に帰国の予定を尋ねられる可能性が高く、帰りのチケットを提示しないと係官の判断により入国を拒否される可能性もないとはいえない。

 また天候病気その他の原因で、予定の出国が不可能になるリスクも考えると、やはりせめて数か月の余裕期間を持った状態で入国するか、早めにパスポートを更新しておくべきであろう。

 例えば中国滞在中に交通事故に遭うなどして飛行機に乗れない状態となれば1~2か月の時間はすぐに過ぎ去ってしまうことは容易に想像できる。
 そしてもしパスポートやビザ(居留証)がいったん有効期限切れになってしまえば、手続きに必要な書類を取り寄せるのに思いのほか時間がかかるのが外国である。

 なかなか手続きが進まぬままオーバースティとなり、あっという間に時間が過ぎ時間切れになる可能性もゼロではないのである。

 それ故に、いろんな意味でやはりリスクを避けるためにも余裕を持った残存期間で中国入国するのが理想的ではあるが、残存期間が6か月を切ったからと言って入国できないということはないのである。

 ただ、繰り返しになるがやはりいろんなリスクを避ける意味でも、ビザの更新やパスポートの更新はうまくタイミングを見計らって早め早めの手続きを心掛け、余裕を持った状態で入国するようにしていただきたいというのが弊社の希望である。
 

退職して中国を離れるときのビザ(居留証)の扱いについて

 始まりがあれば終わりがあるのが世の中の道理だが、中国で働き始めた外国人もほとんど多くの方は、生きているうちにいずれ日本や母国に帰国する日がやってくる。
 稀に中国で生涯を終える方もいらっしゃるがやはり稀なケースであろう。

 そこで中国の会社を退社、あるいは駐在の方が帰任命令によって中国を離れる場合にちょっと悩むのが居留証(ビザ)の後処理の方法である。
 許可期限が来る前に中国を完全撤退できるのであれば、そのまま放置すれば就業証も居留証も期限が来れば自動失効するので何ら悩む問題ではない。

 問題なのは、居留証の期限ギリギリで退職したり、半年など期限を多く残して帰国が決まったような場合である。

 まず第1のケースとして居留証の期限日ギリギリで退職する場合、退職した途端に居留証(ビザ)が切れてしまったのでは、オーバーステイとなる危険が高くなり、罰金などの処罰を覚悟しなければ行けない上に、帰国の準備すらままならなくなる。

 事前に荷物を送るなどして期限日までに出国できるようにするのが理想であるが、なかなかそうもいかない場合もある。

 ではその場合どうすればいいかというと、中国の法人を退職する日付を、ビザの期限より半月ほど早めに設定してもらい、その日付で退職証明を発行してもらうという手段がある。

 この場合、就業証を取り消す手続きをすると、居留許可も取り消すことが可能になり、居留許可の取り消し申請ができれば帰国準備のための暫定居留証が発行される。

 この暫定居留証は半月から1か月の期間が与えられるので、その間は帰国準備が可能になるわけである。

 ただし、この暫定居留証は出国すると失効するので、再入国の際はビザを取得するか、ノービザの適用を受けることになる。

 なお時々、期限が切れてそのまま滞在していても旅行者に認められているノービザ期間の15日間が適用されるのではないかと勘違いされている方がいらっしゃるが、新規入国時以外にノービザの適用はなく、滞在したまま期限が切れる場合はやはりオーバーステイの扱いとなるので注意が必要である。

 第2のケースとして、半年など長期の期間を残して離職したり帰国が決まったような場合である。

 これは完全にケースバイケースであるが、法律上は取り消すのが筋であっても帰国後にもう中国に来る予定がない場合は、期限切れまで放置しても個人としての不都合はないものとなっている。

問題は、帰任後も中国と関わる部署に配属され、断続的に出張で訪れる可能性があったり、中国で再び働く可能性がある場合である。

 この場合も筋論から言えば居留証の取消をしてから帰国するのが最もきれいな方法であり後々も面倒がないのだが、取り消さなければ帰国後の長期出張でノービザ期間を超えて中国で業務をする場合は、いちいちビザの申請をしなくてもいいというメリットもある。

 15日というノービザ期間は長いようで短く延長も利かないので、いろんなケースを想定してマルチビザを取得しておくのは行動の自由度が広がるという面でメリットがあり、違法勤務の疑いをかけられないためにも保険としては有効なのである。

 さらに会社さえ許せば、帰任後も再赴任の可能性などを想定して居留証更新を継続しておくことは有用ともいえる。

 但し、この場合は例え友人宅でもいいから上海の住所を確保しておく必要があり、さらに更新時期には都度上海に赴き一定期間は滞在する必要もあって、不自由さがないわけでもない。

 また中国で再就職する場合も、以前勤めていた会社の在籍証明書などを求められる場合もあり、やはり退職した時点で綺麗に取り消していた方が新たな行動を起こす際は何かとややこしくないと言える。
 
 以上をまとめれば、中国を離れて帰任する際は、後々の予定が見通せていれば居留証(ビザ)を取り消さなくても不都合はないが、そのごどう変化するかわからない場合は、やはりその場は取消をしてまっさらな状態にしてから帰国するほうが後々のために良いといえるのである。
 

中国の労働ビザ許可のチャンスは一度だけ?やり直しは無理?

 弊社に持ち込まれる労働ビザ(居留証)取得の相談の中で、一番困るのが「先日自分で申請したら不許可になってしまったのですが、どうにかなりませんか?」というもの。

 実は外国人の労働許可申請というのは一度不許可になってしまうと、直後に業者を通して申請したとしても初回申請の時より遥かに成功率が下がってしまうのである。

 決して100%無理ということではないのだが、各業者とも無敵の魔法使いではないので、これらはなかなか労を要する案件となる。

 何故、一度不許可になった場合は再許可申請が難しいというと、実は労働局側に記録が残ってしまうので、それを許可としてもらうには不許可となった判断を覆すことになり、それ相応の理由や条件が必要となるからである。

 しかしながら、一度不許可になった直後の再申請の場合は、本人の労働経験や能力が短期間で突然アップするようなことはあり得ないので、書類も結局初回と同じものを提出することになり、決定を覆す要件が原則として何もないことになる。

 逆にもし提出資料の内容を変更して出せば、資料の信用性や誠意に疑いがかかることになり、やはり許可を受けるのは難しい状況となる。
 それ故に不許可を受けた直後の再申請は非常にハードルが上がるのである。

 では、一度不許可を受けてしまうと永遠に再申請のチャンスがないかというと、そんなことはなく、一定の期間を過ぎれば再申請の条件が整うことになると言える。
 つまり不許可となった時期から半年ないし一年などの一定の時間が過ぎれば、その間の職歴や学歴の積み重ねを追加条件として、労働許可申請を行うことが可能になるからである。

 この再申請可能となるまでにどのくらいの時間を必要とするかについては、一概には言えないのだが最低でも三か月程度の待機は覚悟していただきたいというのが弊社の経験上の話となる。

 それ故に、一度失敗してしまうと企業側の社員の採用計画にも狂いが生じるわけで、一度決まった内定を見直さなければならないなど、雇用する方も雇用される方も困ってしまうだろう。
 従って弊社の意見としては出来ることなら許可に不安を感じる場合はやはり最初からビザ業者に依頼して、一発で許可を取れるようにアドバイスを受けつつ進めるのがベストだと思われる。

 労働ビザ(居留証)手続きに関しては一度失敗してから、業者にすがっても時すでに遅しなのである。

中国のビザは入国ビザと在留許可の二段階構造

 中国の外国人に対するビザ制度の構造を把握していない方が時々いらっしゃるので、ここで基本的な部分をおさらいして説明したい。
 中国における外国人ビザというものは大きく分けて下記2種類に大別される。

 ①中国に入国するための目的別の査証(ビザ)

 ②中国に長期滞在するための外国人居留許可証

このうち、①の入国するための査証が一般的にビザ(VISA)と呼ばれているもので、あくまでも定められた目的のための入国に必要な許可である。
 入国つまりイミグレーションを通過する際に入国の目的を示すためのもので、その内容により手続きの際にそれぞれ必要な提示書類を提示して手続きを行う。

 いずれも中国国外に拠点があることを前提に発行されるもので、連続滞在が許可される期間は半年以内の短期となる。
 このため、例えば商貿ビザ(M)の場合は、現地の招聘状のほかに取引先となる母国側の拠点となる法人情報の提示などを行うことになる。

 また申請は基本的に申請者の母国(国籍国)の中国の在外公館で行うために、申請者の母国語の資料だけで手続きが完了する。
 なお、日本など3カ国からの訪問者は観光・文化交流目的の入国の場合は15日間の査証免除(ノービザ)期間が与えられているが、これは治安の良い近隣国からの入国ということで特例的に認められているだけで、例外的なものとなっている。

 これに対して②の外国人居留許可は、原則として中国国内に拠点を置く場合に必要な許可となる。
 就学目的(留学など)の場合や労働目的などがこれに当たり、通称「ビザ」と呼ばれてしまうが、厳密的な意味では「在留許可」と呼ばれるものであり、入国に必要なビザとは区別される。

 中国のこの外国人居留許可証については、原則として所定ビザを取得して中国国内に入国した後、改めて居留許可を取得する手続きが必要となる。
 受け入れ先の学校や会社、家族など中国側の資料提出が必須で、資料のバウチャー(学歴を示す卒業証明書など)が外国語(中国語以外)で書かれている場合は、受け入れ機関の責任において、中国語に翻訳したものを添付することが必須となる。

 このため、例えば家族ビザを取るために必要な婚姻関係を示す書類は、日本の中国在外公館では日本発行の戸籍謄本をそのまま提出すれば問題ないが、中国に別の目的のビザ(観光ビザなど)で入国してから家族帯同の居留許可に切り替える場合は、謄本に対して日本国内の指定機関で認証を受ける必要があるといった違いが生まれる。
 また査証免除が認められている国からの入国であっても、外国人居留許可を受ける場合は、入国の際の査証取得が義務付けられており、ノービザからの切替は認められていないものとなっている。

 ビザと一口に言ってしまうと手続きの際に混乱しやすい中国のビザ・在留許可制度だが、このように知識を整理していただき、是非目的に沿ったビザを正しい手順で手続きして頂きたいものである。
 
 

ビザ申請に必要な写真サイズと上海のスピード写真

 ビザの新規申請や延長手続きの際に必ず必要になるのが本人の顔写真。

これは、他の資料と違ってパソコン上で作って印刷すればよいというような類のものではないから、手続きされる本人にとって意外と面倒臭い準備資料の一つではないかと思われる。

 ところでこの顔写真、居留証(ビザ)に必要な写真の大きさというのがあまり周知されておらず、各情報ソースにはいずれも2寸サイズとまでは記されているが、じゃあその2寸サイズというのは何mmX何mmなのかという情報は、インターネットで調べても情報に随分幅がある

ネット上では2寸写真の説明として33x53であるとか、38X53とか、35X45など各種のタイプが出てくるようで、選択するほうでも迷ってしまう。

 この原因として、基準となる単位がメートル法のセンチではなく、インチ(寸)表示であることに理由がある。
 実は弊社でもやはり2寸サイズとして説明してきていたが、恥ずかしながら詳しいメートル法表記をしてこなかった。

 そこで、今後案内に関して情報の正確さを期するために、2寸サイズとして必要な写真サイズはどのサイズなのか改めて確認することにし、今回ちょうどこちら自身のビザ更新期限が来て顔写真が必要となったので上海の地下鉄駅にあるスピード写真機で撮影してきた。
 
 下記が日本でもお馴染みのスピード写真機であり、上海の主要地下鉄駅には設置されている。

 

上海の地下鉄駅のスピード写真機

上海の地下鉄駅のスピード写真機

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外観に料金表示がないのだが、これは写真によって料金が違うということなのだが、やや不親切である。

サイズは選べるが料金表示なし

サイズは選べるが料金表示なし

 言語表示は、英語、フランス語、広東語、中文(普通語)と結構幅広く選べるが、残念ながら日本語は無いようだ。

スピード写真の言語選択の画面

スピード写真の言語選択の画面

 言語表示の選択を終える(中国語を選択)と、次に写真サイズの選択となる。

スピード写真のサイズ選択の画面

スピード写真のサイズ選択の画面

 数が多く迷うが、Visa Photと書かれたものをまず選択する。(料金は30元)

スピード写真の提出先選択の画面

スピード写真の提出先選択の画面

すると次の画面でどこに出すものかを選択する画面となるので「通用签证」を先約する。

さらに次の画面で、眼鏡をつけているのか否かを尋ねられるので選択する。

眼鏡の有無を確認

選択が終わると、「髪の毛が顔にかからないように」「帽子は取りなさい」「背景と同じ色の服は避けて」などの注意事項が書かれた画面が現れるので、内容を承知したらOKを押す。

スピード写真の注意事項の画面

スピード写真の注意事項の画面

 さて準備が出来たら、右下の赤いボタンを押して椅子の高さを調節、その後緑のボタンで撮影開始である。

スピード写真の椅子調節と撮影ボタン

スピード写真の椅子調節と撮影ボタン

 撮影機会は2回与えられ、1回目の写真を確定した後、2回目の撮影をもっと明るくするとか暗くするとか条件を調整できる。

 スピード写真の撮影結果選択画面

スピード写真の撮影結果選択画面

 そして2枚の撮影を終えた後に、2枚の写真の中から採用する方を選択する。

スピード写真の撮影結果選択画面

スピード写真の撮影結果選択画面

 その後システム内部で証明写真として問題ないかの自動チェックを経て、写真が確定する。
 ここで初めて料金が表示され、投入する。今回は30元であり10元札と20元札しか受け付けず、そのほかの紙幣やコインは駄目のようである。

スピード写真の料金の表示

スピード写真の料金の表示

 でお金を投入すると、実際の印刷を始める。
 出てきたのが写真の6枚つづりの写真。

ビザ用33X48ミリサイズの写真

ビザ用33X48ミリサイズの写真

 確認すると各写真とも33X48のサイズとなっている。

 各人の居留証(労働ビザ)の一回の更新では数枚しか使用しないので枚数的には十分であるが、下部のQRコードを利用すれば、焼き増しも可能のようである。

 よって今回の検証を受け、他動的で申し訳ないが、弊社もこれに倣い今後は顔写真については33X48サイズを推奨することにさせていただく。

 昔に比べ随分進化したスピード写真であり、是非皆さまのビザその他の手続きに役立てて頂きたい。

中国の居留証ビザ(労働ビザ)を取得すると外為法上は中国居民扱い

 先月4月から中国の法律が変わって、持ち込み品に関する関税率などが改定されて、現場の空港の税関などでは結構な騒ぎとなっている。

 この法律の是非について論じることは適当ではないので差し控えるが、この法律の扱いと、外国人のビザに関する関係について少し整理して置きたい。

 上記の中国の関税に関する表現を見ると、対象区分として「居民」と「非居民」に分類され、例えば持ち込みに申告が必要な範囲として、居民は人民元5000元相当以上非居民は2000元相当以上の物品などと表現されている。

 この法律の具体的な内容説明については省略するが、問題は「居民」とは誰を指す定義かである。

 一部には中国国民(パスポート所持者)と理解されている方もいるが、それは大きな勘違いといえる。

 一般的に居民とは、中国国内で消費生産活動を行う個人及び法人を指し、具体的な定義づけとして、中国国内で連続1年或いは1年以上居住する者、或いは短期出国している中国公民(パスポート保持者)などが含まれ、実は中国国内で働いたり学んでいる外国人も含まれる定義となっている。

 そのため、目安として恐らく中国の居留証を持って1年以上の予定で中国で暮らす外国人の方は、中国の外為法上は恐らく中国居民として扱われることとなる。

 故に上記の法律の分類を論じる際に、日本人と中国人という国籍区分で論じることは適当ではなく、居住拠点が中国国内か国外にあるかで判断されることになり、税法上の非課税枠も居民かどうかによって判断される。

 ただまあ法律上の分類はこのようであっても、実際に判断するのは現場の担当官であったりするので、法律の理解通りで扱ってもらえないことがああることも覚悟していただきたい。

 このほか中国には183日ルール(年間183日を超えて滞在すれば中国の課税対象)という扱いもあり、国際間の税法上の理解を間違えると思わぬ出費を強いられることもあるので皆さまにおかれては注意して行動されたい。