始まりがあれば終わりがあるのが世の中の道理だが、中国で働き始めた外国人もほとんど多くの方は、生きているうちにいずれ日本や母国に帰国する日がやってくる。
稀に中国で生涯を終える方もいらっしゃるがやはり稀なケースであろう。
そこで中国の会社を退社、あるいは駐在の方が帰任命令によって中国を離れる場合にちょっと悩むのが居留証(ビザ)の後処理の方法である。
許可期限が来る前に中国を完全撤退できるのであれば、そのまま放置すれば就業証も居留証も期限が来れば自動失効するので何ら悩む問題ではない。
問題なのは、居留証の期限ギリギリで退職したり、半年など期限を多く残して帰国が決まったような場合である。
まず第1のケースとして居留証の期限日ギリギリで退職する場合、退職した途端に居留証(ビザ)が切れてしまったのでは、オーバーステイとなる危険が高くなり、罰金などの処罰を覚悟しなければ行けない上に、帰国の準備すらままならなくなる。
事前に荷物を送るなどして期限日までに出国できるようにするのが理想であるが、なかなかそうもいかない場合もある。
ではその場合どうすればいいかというと、中国の法人を退職する日付を、ビザの期限より半月ほど早めに設定してもらい、その日付で退職証明を発行してもらうという手段がある。
この場合、就業証を取り消す手続きをすると、居留許可も取り消すことが可能になり、居留許可の取り消し申請ができれば帰国準備のための暫定居留証が発行される。
この暫定居留証は半月から1か月の期間が与えられるので、その間は帰国準備が可能になるわけである。
ただし、この暫定居留証は出国すると失効するので、再入国の際はビザを取得するか、ノービザの適用を受けることになる。
なお時々、期限が切れてそのまま滞在していても旅行者に認められているノービザ期間の15日間が適用されるのではないかと勘違いされている方がいらっしゃるが、新規入国時以外にノービザの適用はなく、滞在したまま期限が切れる場合はやはりオーバーステイの扱いとなるので注意が必要である。
第2のケースとして、半年など長期の期間を残して離職したり帰国が決まったような場合である。
これは完全にケースバイケースであるが、法律上は取り消すのが筋であっても帰国後にもう中国に来る予定がない場合は、期限切れまで放置しても個人としての不都合はないものとなっている。
問題は、帰任後も中国と関わる部署に配属され、断続的に出張で訪れる可能性があったり、中国で再び働く可能性がある場合である。
この場合も筋論から言えば居留証の取消をしてから帰国するのが最もきれいな方法であり後々も面倒がないのだが、取り消さなければ帰国後の長期出張でノービザ期間を超えて中国で業務をする場合は、いちいちビザの申請をしなくてもいいというメリットもある。
15日というノービザ期間は長いようで短く延長も利かないので、いろんなケースを想定してマルチビザを取得しておくのは行動の自由度が広がるという面でメリットがあり、違法勤務の疑いをかけられないためにも保険としては有効なのである。
さらに会社さえ許せば、帰任後も再赴任の可能性などを想定して居留証更新を継続しておくことは有用ともいえる。
但し、この場合は例え友人宅でもいいから上海の住所を確保しておく必要があり、さらに更新時期には都度上海に赴き一定期間は滞在する必要もあって、不自由さがないわけでもない。
また中国で再就職する場合も、以前勤めていた会社の在籍証明書などを求められる場合もあり、やはり退職した時点で綺麗に取り消していた方が新たな行動を起こす際は何かとややこしくないと言える。
以上をまとめれば、中国を離れて帰任する際は、後々の予定が見通せていれば居留証(ビザ)を取り消さなくても不都合はないが、そのごどう変化するかわからない場合は、やはりその場は取消をしてまっさらな状態にしてから帰国するほうが後々のために良いといえるのである。
View Comments
初めまして、香港在住の石川と申します。
離職や帰任が決まった場合、居留許可を抹消して短期ビザに切り替えなければならないとの規定があると聞いことがあるのですが、最近の状況についてアドバイスいただければ幸いです。
石川様
お問い合わせありがとうございます。
ご質問の件、香港と大陸については一国二制度のもと異なる法体系で外国人滞在許可制度が運用されておりますので、弊社では香港の事情は存じ上げませんので、この件は香港当局などにお尋ねください。
お役に立てず申し訳けありませんが、どうぞよろしくお願いします。
上海SYSビザサポート
http://suyisui.com/jp/wp-admin/edit-comments.php?comment_status=all#comments-form
担当者様
ご回答ありがとうございます。
下記は中国の居留許可に関する案件でで質問をさせていただきました。香港での事案ではありません。
石川様
ご質問の件
再度ご回答します。
法律上は、届け出事項に変更が生じた場合は10日以内に変更届をしなくてはならないこととなっており、居留許可を取り消して臨時ビザの形に切り替える必要があります。
ただし、上海などにおいては転職などの理由で別の工作証へ切替える場合は、1か月程度の範囲であれば、そのまま居留証を使って滞在されていても差し支えありません。
この点、都市により運用が大幅に異なりますのでご注意ください。
上海SYSビザサポート
早速のご回答ありがとうございました。
疑問点がクリアになりました。
初めまして、上海在住清水と申します。
大分前に記事で大変恐縮ですが質問させてください。
10年以上上海に住んでいる友人が体を悪くし、離職する事になりそうです。(日系企業の現地採用)
一度日本に帰って体調を万全にし、また上海に戻り求職をする気持ちでいるようなのですが、会社の方から就労証取り消しと言われたそうです。
この場合は居留ビザも取消されて、もう中国には住めないのでしょうか?
自宅も更新したばかりで、急な状況の変化は大変そうで、居留ビザの期限はまだ結構残っているので、仕事はなくても上海にしばらくいられるのであれば今後のための準備ができると思うのですが、それは可能なのでしょうか。
わからない事ばかりで、ご教授いただけますと幸いに存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
清水孝子さま
ご返信大変遅くなりました。
お問い合わせの件、雇用継続できるかどうかは会社様の判断によりますが、上海におられない場合は以後の継続手続きが難しくなりますので、実質上取り消しをしなければならないものと推測されます。
上海SYSビザサポート